2026年5月21日(木)、令和8年度博物館講座の第1回「今日はとことんカエンドキ ―火焔土器をじっくり解説」を開催しました。
受付開始からほぼ1日で定員となってしまい、その後もお問い合わせを多数いただきましたので、復習を兼ねて、ここで第1回講座のふりかえりをしてみたいと思います。当日のおみやげ(配布資料)は、こちらからダウンロードしてください。
科学博物館公式Facebookページにも、関連記事を掲載しています。こちらもご覧ください。

本講座では、現在、科学博物館で開催中の火焔土器発見90周年記念キックオフイベント、「カエンドキ🌀ぐるぐる」に合わせ、馬高遺跡出土の火焔土器に焦点を当て、①近藤篤三郎さんによる発見譚や、命名にまつわる謎、修復履歴など、発見から90年という長い年月人々から愛されてきた火焔土器の歴史、②火焔土器の文様、③火焔土器に代表される火焔型土器の作り方と使い方、について解説しました。
ちなみに今回のテーマである「火焔土器」は、火焔型土器のうち、1936年(昭和11)の大みそかに馬高遺跡で近藤篤三郎さんが発見したとされる1点の土器に付けられた名称で、他と区別されています。
と火焔型土器(A2)-1024x432.jpg)

②について、一つの土器(今回は火焔土器)を熟覧することで“基準”を作り、その眼で他の土器をみることで、同じように見える土器同士に共通点と相違点(個性)があることに気づいてもらうことを狙いました。
展開写真を使って、火焔土器(A式1号)の文様の構成をじーっくり観察して・・・
その後、同じ馬高遺跡から出土した火焔型土器(A式2号)の展開写真を見ると・・・

会場から「あっ、違う」という声が上がりました。シメシメ。
さらに常設展示室で岩野原遺跡出土の火焔型土器を観察すると・・・

「全然違う!」との声が。シメシメシメ。
火焔土器を知れば、カエンドキもみえてくるはずです。ぜひ、じっくりと観察してみてください。

縄文土器の文様から音楽を作り出すアートプロジェクト、JOMON MUSIC of the EARTHでは、火焔土器と火焔型土器(津南町諏訪前遺跡出土)から、全く異なる楽曲が作り出されています。これは土器を熟覧した結果の表現です。ぜひ聴き比べて見てください。火焔土器の楽曲については、「カエンドキ🌀ぐるぐる」会場にて放映中です。
そして③については、特に壊れ方、ひび割れに注目して火焔土器を含む火焔型土器の作り方を解説しました。


火焔型土器が、粘土紐をいかに積んで、積んで、貼り付けて、貼り付けて作られているか伝わったかと思います。この長岡市転堂遺跡出土の火焔型土器は、鶏冠状把手(鶏頭冠)が取れてしまっても、そのまま使われ続けたことをも示す好資料です。転堂遺跡からは、火焔型土器の使われ方を良く示す資料がもう一つ出土しています。

この土器は、内面から口縁にかけて炭化物(おこげ)が付着しています。実際に煮炊きに使用された証拠です。さらに、この火焔型土器は4つあった鶏冠状把手(鶏頭冠)と鋸歯状突起の一部が取れてしまっているのですが、その破断面・剥離面が磨滅しています。火焔型土器を特徴づける「過剰な装飾」が壊れてしまっても、捨てられずに使い続けられていたことを物語ります。
講座の〆は「カエンドキ🌀ぐるぐる」のギャラリートークです。

大きな展開写真で、さきほどの「おさらい」をしたり、「さわれる火焔土器」(高精細レプリカ)を代わる代わる持ち上げたり、さわったりしながら、火焔土器談義に花が咲きました。
予定時間で一旦終了としましたが、その後も質問が尽きず、最終的には閉館時間近くまでの長丁場となりました。火焔土器への興味・関心を肌で感じた、楽しい時間でした。ありがとうございました。
今回の講座はカエンドキを知るほんの入口です。おみやげ(配布資料)で参考文献を紹介してありますので、より深く学んでいただければ幸いです。馬高縄文館には実物の火焔土器、そして火焔型土器などが多数展示されています。カエンドキの世界にどっぷりハマってみてください。
本講座の内容①:火焔土器の歴史については、10月15日(木)開催の博物館講座第6回「火焔土器と馬高遺跡 ―発見90周年に寄せて―」で詳しく解説があるかと思います。こちらもぜひご参加ください。
最後に、閉幕が迫っていますが、「カエンドキ🌀ぐるぐる」開催中です。御来場お待ちしております。

詳しくはコチラ〈企画展ページへ〉
(文化財研究室)