長岡市妙見町産出の海牛(カイギュウ)化石について

(2007.11.20 更新)

 平成16年新潟県中越地震(中越大震災)で大規模な崩壊が発生して県道が不通となり、災害復旧工事が行われていた長岡市妙見町の工事現場で、2006年(平成18年)12月5日、大型の海生哺乳類の化石が見つかり、新潟県長岡地域振興局の協力をいただいて翌12月6日に緊急発掘が行われました。


カイギュウ化石産出地の遠望
化石が見つかった長岡市妙見町の災害復旧工事現場。(2007年1月21日撮影)


化石の産出状況(中景)
 化石は法面(のりめん)のすぐ近くで見つかりました。測量ポールが置かれているあたりに化石が見えます。(2006年12月6日撮影)


化石の産出状況(中景)の部分拡大
ひとつ上の写真の中央部を拡大したものです。(2006年12月6日撮影)


化石の産出状況(近景)
化石の産出状況です。ほとんどが肋骨(ろっこつ)です。(2006年12月6日撮影)


化石の産出状況(近景)別アングル
別の角度から撮った写真です。(2006年12月6日撮影)


化石の採取作業
採取作業のようすです。(2006年12月6日撮影)


別の肋骨
上の写真とは違う肋骨です。(2006年12月6日撮影)


肋骨の採取跡
肋骨を採取した跡です。整然と並んでいたことがわかります。(2006年12月6日撮影)


夜間撮影
夜間、ストロボを使って撮影した写真です。中央の白っぽく見える部分は、海水中の石灰分が濃集して、岩石がカチカチに固まっているところです。(2006年12月5日撮影)


●化石を産出した地層は白岩(しろいわ)層で、化石の年代はおよそ200万〜250万年前と推定しています。
●採取した化石の大部分は肋骨(ろっこつ)で、そのほか2007年2月17日現在、椎骨(ついこつ)と前腕骨(ぜんわんこつ)を確認しています。
●肋骨が太かったこと及び肋骨断面において緻密質が薄く海綿質の量が多かったことから、当初は鯨(クジラ)類の化石である可能性が高いと考えましたが、その後、研究者から海牛(カイギュウ)類の可能性もあることが指摘され、県内外の研究者の協力を得て、慎重に化石のクリーニング作業を進めてきました。
●2007年2月17日現在、化石のクリーニング作業の途中ですが、前腕骨の形態的な特徴から、この化石は海牛類の化石であると考えられます。
●海牛類の化石の産出は、日本国内では24例が報告されていますが、この時代の地層からある程度まとまった骨格が産出したのは初めてです。
●日本国内で産出した500万年前以降の海牛類化石のうち詳しくわかっているのは、タキカワカイギュウとステラーカイギュウの2種類です。タキカワカイギュウの生息年代はおよそ500万年前から300万年前、ステラーカイギュウの生息年代はおよそ120万年前以降とされています。このたび見つかった海牛類化石は、両者の間の空白の時間を埋めるもので、海牛類の進化や分布などに関する多くの情報が得られるものと期待されます。



報道に見られる、誤解を招くおそれのある記述などにつきまして
 ニュース報道にはそういったものが付きものなのでしょうが、主なものを列挙しておきます。

絶滅した海生ほ乳類「カイギュウ(海牛)」:海牛類は絶滅していません。ジュゴンやマナティが現存しています。
一体のほぼ完全な形:上にもあるとおり、肋骨は大量に採取しましたが、記事が掲載された2007年2月9日現在で、そのほかの部位で確認していたのは椎骨と前腕骨だけです(2007年2月17日時点でも変わりありません)。
クジラにはない長さ約50センチの前腕の骨を確認:鯨類にも前腕骨はあります。
第3紀:第三紀と表記します。
「ステラー」属の種「タキカワ」属のカイギュウ:ステラーカイギュウとタキカワカイギュウのことと思われますが、これらの種はヒドロダマリス属に属します。“ステラー属”や“タキカワ属”はありません。
出土:土器や石器では“出土”ということばを使いますが、化石では“産出”や“発見”が一般的です。

 

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