研究活動
地域博物館として地域の自然を研究活動の中心にしています。
◆悠久山サギコロニーのその後
当科学博物館は1977年まで悠久山公園内にあったこともあり、この公園の約1.6・のスギ林(蒼柴神社社叢)に集団営巣するサギ類(アオサギ、ゴイサギ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アマサギ)の営巣数を約20年間調べてきました。20年前は、アオサギ、ゴイサギ、コサギの3種でしたが、最近はチュウサギ、ダイサギ、アマサギが加わり、アマサギは増加傾向にあります。営巣樹であるスギの枯死、悪臭、騒音など周辺環境への問題も発生しており、1989年には最も数の多いゴイサギ約4000羽を5・離れた信濃川の河川敷に移動させる作戦を実施し、成功しましたが、また悠久山に戻ってきていました。2002年の春に移動作戦が行われ、ほとんどのサギが信濃川などに移動しました。50年以上にわたる悠久山のサギコロニーが姿を消しました。
◆生態調査
○カイツブリの繁殖生態
1987年から7年間、長岡市の百間堤でカイツブリの繁殖生態を調査しました。堤という限られた空間に展開されるつがいのなわばりと繁殖活動を調査し、当館の研究報告(28号)にまとめましたが、その中で、今後さらに確かめなければならないいくつかの興味ある問題もあります。例えば百間堤には、つがいの他に毎年あぶれ個体がいるのですが、その個体はつがいに見つからないように、隠れながら行動しています。そのあぶれ個体の生活を知りたいこと。また、カイツブリは雛が23日令くらいになると、雄親と雌親がそれぞれ餌をやる雛を分けて担当するようになるのですが、その機構を解明すること。また、カイツブリが抜けた羽毛をよく食べることは知られているのですが、調査の結果では羽毛を食べるのは20日令から40日令の幼鳥がほとんどで、成鳥が食べることは稀です。したがって、カイツブリにみられるこのカンニバリズムが、単純に餌の甲殻類などの消化を助けるためというのではなく、この日令の幼鳥に発現してくることにもっと注目してみる必要があるのではないかと考えています。
◆保護のための基礎調査
○中之島町の水田に渡来するマガンの調査
新潟県には、毎年1500〜2000羽のマガンが渡来していますが、その渡来地は福島潟や佐渡の国仲平野など5か所しかありません。中之島町の信濃川沿いの水田地帯には600羽ほどが渡来します。この渡来地は古くから知られた地域ですが、これまで詳しい調査はされていません。今後の保護を考える上からも、この越冬地における渡来数、採餌場所、ねぐらなどを調査しておくことは重要と考えています。
○長岡市の信濃川に渡来するオジロワシの調査
新潟県に渡来するオジロワシの数は毎冬13羽前後ですが、そのうち2羽の成鳥が毎年長岡の信濃川にやってきます。この2羽がつがいであること、行動圏が信濃川に沿って10・におよぶことなど、オジロワシの具体的な越冬生態が初めて長岡野鳥の会会員の調査でわかってきました。
◆総合調査
科学博物館では、長岡市の将来を展望する基礎的な資料収集を目的に、地域の自然と人文の総合調査を1993年から実施しています。これまで悠久山、信濃川、東山の調査を終了しました。
◆渡り鳥の標識調査
1985年から環境庁の委託調査である渡り鳥の標識調査を信濃川の河川敷で実施しています。15年間に52種、16932羽に標識しています。放鳥数が最も多いのはカシラダカですが、回収数の最も多いのはオオジュリンです。
2002年秋期(10/3〜11/16)の標識結果は次のとおりです。
総放鳥数 575羽
放鳥種数 31種
各種の放鳥数
カシラダカ(268羽)、アオジ(179羽)、モズ(23羽)、シジュウカラ(17羽)、エナガ(11羽)、ベニマシコ(10羽)などです。
普及活動
動物研究室の普及活動は、探鳥会を中心に年間11回行っています。野鳥集会と探鳥会(5月)、信濃川バードウオッチング(5月)、冬鳥さよなら探鳥会(3月)、野鳥相を調べる会(4〜11月まで毎月1回)。
○野鳥相を調べる会
長岡地域の野鳥相を自分たちの手で調べようと、地元の長岡野鳥の会(会員数160名)と協力して1978年から実施している活動で、今年度(2003年)の信濃川で25年目になります。毎年1地域を決めて、4〜11月まで毎月1回、市民の参加も得て行っており、長岡の野鳥相はほぼ把握されています。これからは、以前やった地域を再度調べることによって、野鳥相の変化を見てゆこうと思っています。
主な収蔵資料の紹介
収蔵資料点数
鳥 類 標本剥製(仮剥製) 1133点
本剥製 574点
卵標本 1000点
巣標本 151点
哺乳類 標本剥製(仮剥製) 48点
本剥製 48点
動物部門の収蔵資料は、鳥類と哺乳類を収蔵しています。鳥類については開館当初(1951年)に収集されたものが多いのですが、仮剥製、本剥製で、アビ目(7点)、カイツブリ目(19点)、ミズナギドリ目(18点)、ペリカン目(18点)、コウノトリ目(71点)、カモ目(116点)、タカ目(61点)、キジ目(60点)、ツル目(29点)、チドリ目(164点)、ハト目(19点)、ホトトギス目(10点)、フクロウ目(54点)、ヨタカ目(7点)、アマツバメ目(6点)、ブッポウソウ目(28点)、キツツキ目(67点)、スズメ目(953点)という内容です。これらの中で、今では貴重種になった剥製も多いのですが、日本で唯一の記録であるギンザンマシコ(アトリ科)の1亜種、コバシギンザンマシコ
Pinicola enucleator kamtschatkensisを収蔵しています。
また、これもハヤブサの1亜種ですが、富山県と新潟県の2例の記録しかない、シベリアハヤブサ Falco peregrinus hartertiの若鳥を収蔵しています。
哺乳類は多くありませんが、日本では新潟県の下田村、村松町、上川村という山続きの地域に集中して出現している、ツキノワグマの白化個体(雌・成獣)を収蔵、展示しています。
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